こんにちは!わっきー(@wakky929analyst)です!
近年、様々なスポーツで注目を浴びている“アナリスト”という存在。
テレビやメディアでよく聞くようになったアナリストという職業ですが、実際にはどのようなことをしているのかご紹介したいと思います。
スポーツアナリストとは
まず、スポーツアナリストとはどういった職業なのでしょうか。2014年に設立された、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会によると、スポーツアナリストとは以下のように定義されています。
一般社団法人日本スポーツアナリスト協会のホームページより引用
選手及びチームを目標達成に導くために、情報戦略面で高いレベルでの専門性を持ってサポートするスペシャリスト
日本スポーツアナリスト協会とは、バレーボール女子日本代表で長くチーフアナリストを務めた渡辺啓太氏を筆頭に、オリンピックでメダル獲得を目指すトップアナリストの方々によって設立された団体です。
ここでいう「目標達成」とは、オリンピックでのメダル獲得や個人やチームのパフォーマンスアップに当たります。「高いレベルでの専門性」とは、競技のルールや特性を理解していること、専用の分析ソフトやそれに付随するカメラやパソコン、通信機器などの知識を有していること、あるいは統計学やバイオメカニクスなどの知識がこれに該当するかと思います。
スポーツアナリストとは、チームや個人の目標達成のために、選手や監督・コーチに対し、客観的な観点からサポートを行う職業です。
どんな仕事をしているのか
それでは、具体的にスポーツアナリストといわれる人たちはどのような仕事や業務を請け負っているのでしょうか。私自身も、2014年からバレーボールの実業団でアナリストとして活動しています。自身の経験を踏まえて、その仕事内容について紹介していきます。
情報の収集・集約
スポーツアナリストはそれぞれ専門の競技に従事することが基本です。私はバレーボール専門のスポーツアナリストですので、その競技に関する情報を収集します。どんな情報を収集するのかというと、目的達成の為に必要な情報を収集します。
具体的には、諸外国のチーム・選手の動向をチェックします。毎年メインとなる国際大会に向けてどこの国も様々な大会に出場したり親善試合を行ったりしています。ライバル国はどこの大会にどんなメンバーで出場していて、結果どうだったのかを追跡調査します。また海外のニュース記事からイタリアとトルコが親善試合を〇月〇日に行うという情報を入手すれば、その映像を取り寄せたりします。現代であれば大会の映像は比較的簡単に入手することが可能になりました。
そして忘れてはいけないのが、日々の練習や練習試合、大会でのプレーデータの収集です。バレーボールでは専用の分析ソフト「データバレー」が主流です。データバレーはイタリアで開発されたバレーボール専用のソフトウェアで今ではほぼ全世界共通で利用されています。データバレーでは、「誰が」「どこで」「何をしてどうなったか」を記録することができます。データバレー上で特定の選手のプレー情報(いわゆるスタッツ)が閲覧可能になります。1試合ごとにデータと取りため、大会毎でフィードバックを行ったり、シーズン毎にフィードバックを行ったりします。
データ分析・伝達
収集したデータから、チームの強みや弱みを見つけ出すことが重要な役割です。競技特性やルール、基本的な戦術を知っていることも大事なのですが、それ以外にチームがやろうとしている戦術を理解しておく必要があります。戦術においてセオリーと言われるものはありますが、チーム状況や監督・コーチの考えによって変わることはあります。アナリストはあくまでも監督・コーチのサポート役ですので、チーム全体の方向性を理解しておく必要があります。
データ分析の切り口はシチュエーションによっても様々です。試合前に対戦相手の特徴を分析したり、大会終了後やシーズン終了後にデータをまとめて目標値に対してどうだったかをまとめたりします。
試合前の対戦相手の分析
- 相手のスターティングメンバーや控え選手の情報
- ローテーション毎の攻撃パターン
- アタッカー毎のアタックコースの特徴
大会・シーズン後の分析
- 出場選手のプロフィールや登録ポジションの傾向
- 選手別スキルランキング
- 国別スキルランキング
- ポジション別スキルランキング
- セット毎の勝敗別各スキル平均値
- 勝因寄与率
などなど、、一部ですがシチュエーションによって分析する切り口が大きく異なります。
特に試合前の対戦相手の分析は、プレーデータの数値情報を参考にすることも大事ですが、それ以上に映像を確認し相手の選手はどういう動きをするのか、どういう傾向があるのかを明らかにし伝えることが求められます。
情報戦略・マネジメント
選手のパフォーマンスアップやメダル獲得の為、トップカテゴリーのスポーツアナリストは絶えず進化を求めています。練習環境をもっとよくするために一般企業のチカラを借りてプロジェクトに取り組んだりすることが多くなります。チームの中の監督・コーチ・選手との関わりだけではなく、チーム外の方とプロジェクトを進めるにあたって、チーム内部と外部企業との調整が必要であったり、プロジェクトがチームの目的に合致した方向に進めるようなマネジメントも必要になります。
たまにスポーツアナリストがメディアに出た際には、スポーツの現場で活躍している姿が目に入りがちですが、実はそれ以外にもテクノロジーのスポーツへの転用にはアナリストが仲介役、マネジメント役となっていることが多いです。
スポーツアナリストは根気のいる仕事
スポーツを仕事にしたいと思っている方にとって、スポーツアナリストという職業は一つの選択肢として数えられると思います。テレビでの露出も比較的増えてきて、チームの戦術、戦略を支える華々しい職業として見えるかもしれません。どんな職業もそうでしょうが、スポーツアナリストという職業も地味な作業の方が多いです。大会前や大会中になると、一日の大半をパソコンに向かうことも日常茶飯事です。
大会中は日本戦が第3試合であっても、アナリストは情報収集のため第1試合から単独行動することが多いです。大半の作業が地味で根気のいる作業も多く、孤独なことも多い仕事です。それでも、チームが勝った時や、大会でメダルを獲得した時というのは、まさに疲れも吹っ飛びます。
スポーツアナリストというのは、選手の成長を第一に考え、身を挺してでもチームに貢献したい!という人にはいいかもしれません。今回は、スポーツアナリストという実際何してるかわからない職業についてご紹介しました。
アナリストに求められる能力についてはこの記事も合わせてご覧ください!

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