こんにちは!わっきーです!(@wakky929analyst)
この記事では、バレーボールのデータ分析で使われる、「データバレー」という分析ソフトについて紹介していきたいと思います。
テレビなどのメディアではバレーボールの情報活用についてよく「IDバレー」といった言い方がされているくらい、バレーボールでは試合中の情報戦が欠かせません。
その情報戦を支えているのが、アナリストという存在で、そのアナリストが使っているソフトウェアは「データバレー」というソフトです。
そこで、この記事では
- データバレーとはそもそも何?
- データバレーで何ができるの?
- データバレーは誰でも使えるの?
このような疑問にお答えしていきたいと思います。
データバレーとは何か
データバレーとは、イタリアのDataProjectという会社が開発したバレーボール専用の分析ソフトウェアで、最新版は「DataVolley4(以下データバレー4)」になります。
以前のバージョンは、「DataVolley2007(以下データバレー2007)」と「DataVideo2007(以下データビデオ2007)」の二つで対になるソフトウェアでした。
「データバレー2007」では主にプレーデータの入力と分析機能が搭載されており、「データビデオ2007」は「データバレー2007」で入力したプレーデータと映像を同期させ自由にプレー検索がすることができました。
最新版の「データバレー4」ではこれらの2つのソフトウェアの機能が統合され、プレーデータ入力と映像再生、編集が一つのソフト上で可能になりました。
この「データバレー4」は日本だけでなく、世界中で使われており、国際大会に出場する国はほとんどがこの「データバレー4」を活用しています。
データバレーで出来ること
それでは、具体的にこの「データバレー」でどんなことができるのか説明していきます。
①プレーデータの入力

参照:https://www.dataproject.com/
データバレーではすべて人力でプレーデータを入力します。すべてのボールタッチに情報を付加していくわけですが、
「どっちのチームの」「誰が」「どんなプレーをして」「どこで」「どうなった」という情報を即座に入力していきます。
②分析
「データバレー」には入力したプレーデータを元に様々な分析機能は備わっています。
詳しくは後ほど記載しますが、以下のようなことを数値情報として表示したり、表として可視化することができます。
統計・・・入力したプレーデータを元に、各選手の統計(スタッツ)を表示することができます。〇〇選手は今何本アタックを打って、何本決まっているかといった情報や、それらを組み合わせたアタック決定率や、アタック効果率が計算されて表示されます。また、ワークシートというExcelに似た機能もあり、自分が見たい情報を一覧できる表も作ることが可能です。
アタック効果率=(アタック決定数ーアタックミス数ー相手のブロックに止められた数)÷アタック打数 ×100

参照:https://www.dataproject.com/
ゾーンチャート分析・・・入力したプレーデータをコートを模した表にデータを表示することができます。セッターの配球を簡易表示することもできますし、細かく条件設定をすれば、ある選手がレセプションした後にはどこにトスが上がっているかなども可視化することができます。

参照:https://www.dataproject.com/
ディレクション分析・・・デレクションとは、コースの事です。相手のアタックコースを表示して、どこで決められているかを確認することができます。アタックコースは前述したゾーンを細分化したA~Dまでを入力することでディレクション分析にも反映され、より細かいコースの描画が可能になります。

参照:https://www.dataproject.com/
セッター分析・・・ローテーション毎にセッターがどこにトスを上げているかを表示することが可能です。このセッター分析では前述したゾーンチャート分析よりも詳細にセッターのトス配球を表示することができます。ローテーション別で1プレー毎に表示され、レセプションの返球の良し悪し、どこに上げたか、結果はどうだったのかを簡単に見ることができます。結構試合中にも重宝している分析機能の一つです。

参照:https://www.dataproject.com/
得点経過・・・試合後には1点ごとの得点経過を見ることができます。誰が決めて、点差はどれくらいなのかを見ることが出来ます。あまり試合中には使わないですが、試合を振り返るときにはよくレポートとして使う機能です。

参照:https://www.dataproject.com/
③映像再生、編集、キャプチャ
「データバレー4」及び「データビデオ2007」では入力したプレーデータと映像を同期させることで任意のプレーを簡単に検索することが可能です。
例えば、「自チームの3番がAクイックを打って決まったシーン」などプレーを細分化して検索することも可能です。
描画機能も備わっており、映像を見ながら線を引いたりすることも可能です。
また、検索した映像をそのままビデオクリップという形で保存することも簡単にできます。(データバレー上ではモンタージュと言う)
カメラとキャプチャ機器をパソコンにつなげると、動画キャプチャもデータバレーで行うことも可能で、さらにネットワークを構築すれば、離れたところにストリーミングも簡単に送ることができます。
バレーボールの試合中は、コート後方にいるアナリストがコートにいる監督・コーチのタブレット端末やパソコンにデータと映像を送っています。
送った映像は即座にプレーデータと紐づけられ、リアルタイムで映像検索を行うことも可能になりました。(データバレー4のみ)
データバレーは誰でも使えるの?
全世界で使われている「データバレー」ですが、結論は「誰でも使えます」
ただし、有料です。
いくら掛かるのかと言うと、年間約12万円です。
他の競技で多く使われているスポーツコードは年間50~60万くらいするので、それに比べると良心的な価格じゃないかなと思ってます。
あとはデータバレーで細かいプレーデータを入力するためにはある程度練習が必要です。
まずは「どっちのチーム」「誰が」という簡単なコードから練習を始めて、慣れてきたらアタックの種類を細分化したり、アタックのコースを付け加えたりして徐々に入力するコードを増やしていきます。
現在Vリーグに所属しているアナリストは、基本的な「どっちのチームの」「誰が」「どんなプレーをして」「どこで」「どうなった」というデータに加えて、アタックを打った時の相手のブロック枚数を入力したり、トスを上げる際に両手で上げたのか、片手だったのか、アンダーハンドパスで上げたのか、さらにデータを付加しています。
さて、この記事ではバレーボールのアナリストが使っている分析ソフトの「データバレー」についてどんなことができるのかを簡単に解説しました。
アナリストの活動に興味のある方はこちらの記事も合わせてお読みください。

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