新生Vリーグは成功だったのか。課題と今後の展望

Vリーグは成功だったのか

こんにちは!わっきーです!(@wakky929analyst

2018/2019シーズンよりバレーボールの国内トップリーグであるVリーグが新しくなりました。
これまでは、Vプレミアリーグと呼ばれていましたが、BリーグやTリーグに感化されたのか、新リーグに伴い「Vリーグ」としてリニューアルされました。

私自身、2011年から3年間ほどVリーグに所属するチームでコーチ兼アナリストを務めてきて、今は20歳以下の日本代表チームでアナリストをしています。
そんな私が外からみた今年のVリーグについて、果たして生まれ変わったVリーグは成功だったのか個人的な見解をまとめてみました。

総合的な成功度合いは?

先日出た田中夕子さんが書いた記事の中で、Vリーグ機構の沖事務局長は「第一歩を踏み出したという意味も踏まえ、点数をつけるなら50点」と述べています。

私の率直は見解は、「50点は高すぎる」。確かに新生Vリーグと謳って選手起用面でのルールの変更や大会方式の変更に踏み切った点については一歩踏み出したといえるでしょうが、会場で空席が目立ち集客面での課題が露呈していたことや、リーグ戦方式も東西に分けたり、交流戦をやったりと工夫してみたけど、一ファンからすると少しわかりにくい印象がありました。

もちろん、慣れていないという点からわかりにくいという印象をもったことも考えられるので一度の開催で失敗だと決めつけるのは時期尚早だとは思います。
次シーズンについては今年の課題をしっかりと反映したリーグ運営を期待したいものです。

準備不足が招いた集客面での課題

上の田中さんの記事で、沖事務局長は残りの50点についてこう話しています。

「あとの足りない50点は、第一にお客様の数が少なかったということです。集客に対してわれわれの広報、告知が足りなかったというのはもちろん大きな反省で、それは来年度以降、早急に取り組まなければならない課題です。ただ一方で、なぜそれだけ減ったのかと考えると、地域や一般のお客様を呼び込むために、今まで社員を動員していた企業が動員を辞めた。その分が減少したというデータもあります。まだ動き出したばかりで1年目は仕方ない、と捉えることもできますが、それでも、もう少し多くの方に来てほしかった、という反省も含め50点です」

新リーグ移行に伴いホームゲームの運営は各チームに委ねられるようになりました。それによりホームゲームでの収益はそのホームチームに還元されるようになったため、ホームチームは集客にも力をいれなければなりません。

これまでのVリーグ(以前のVプレミアリーグ)では、チームは母体となる会社の社員や選手の家族などを無料で招待(=動員)というのが行われていました。新Vリーグになり、各チームがどれほど動員を減らしたのかは定かではありませんが、お客さんが減り、空席が目立つようになったのは動員を辞めたからだとコメントしたことには少し驚きました。
そもそも動員は席を埋め、見た目をよくするためにはいいかもしれませんが、そもそも収益にはつながらないので各チームの動員を辞めるという判断は正しいと思います。

ホームゲームの運営や集客を各チームに委ねたとはいえ、元締めであるVリーグ機構が旗振りをして協力して集客につなげなければいけないと思います。
その点に関しては今年のVリーグについてはまだまだできていなかったと言えるでしょう。

事前の周知活動もままならないままリーグ開催を迎えてしまったことは大いに次シーズンで生かすべき課題だと思います。

見にくいと不評のホームページ

新リーグにあたって、Vリーグのホームページもリニューアルされました。
一見、スタイリッシュな印象ですが、使う側からすると見たい情報に行きつくまでの導線が分かりにくくユーザー目線で作られているようには見えませんでした。
一ファンとして見たい情報は、いつ・どこで試合が行われて、どのようにチケットが買えるのか。マーケティングとしての基本的な戦略がホームページ上に見えなかったのが、少し残念です。

趣向を凝らした取り組みや生まれた好循環

新生Vリーグになって、悪いことばかりではありません。各チームが新リーグ移行に伴いこれまでみられなかったような様々な取り組みを行いました。
企業スポーツから商業スポーツへと変化する第一歩だと思います。

趣向を凝らしたチームの取り組み

まず最初に物議を醸したのは男子のサントリーのホームゲームではないでしょうか。アウェーチームの応援制限を行い会場をチームカラーの赤に染めるという取り組み。
ネット上の反応を見ると賛否両論ありましたが、これまでにない大胆な試みでした。

女子の久光製薬はホームゲームにDA PUMPを呼んで試合前に当時話題の「U.S.A」を披露してもらっていました。
バレーボールとは程遠いようなDA PUMPの起用でしたが、その話題性や旬な方を起用するのは費用は掛かるかもしれませんがナイスチャレンジですね。

金沢市を拠点とする女子のPFUは同市のバスケットボールチームと公式戦を共同開催するという取り組みを行いました。
お互いのファンに違うスポーツにも興味を持ってもらう絶好のチャンスともなり、素晴らしいアイデアを形にした良い取り組みだと思います。

男子と女子にバレーボールチームを持つJTは、SNSでキャッチフレーズ対決が話題になりました。
ホームゲームを開催する際には、JTの選手と相手チームの選手を○○対決として、面白いキャッチフレーズを付けSNSに投稿しました。
より選手にスポットを当て、選手への興味を引くようなキャッチフレーズ対決は非常に好評のようでした。

選手の意識の変化

今回の新生Vリーグでは、選手個人の発信も変化したように感じます。
これまでの集客はVリーグ機構やチームの情報発信により告知していた部分が多いかと思いますが、選手個人がSNS等で周知するケースが多く出てきました。

Vリーグ機構やチームだけの周知ではなく、選手個人が集客に努めなければいけないという意識の変化が起こってきているのではないかと思います。

企業スポーツはたとえお客さんが来なくても生活に困ることはそうありません。
プロスポーツとなると集客しなければ存続できないということになりますので、これから本気でプロ化を目指すのであれば選手自身の情報発信が重要になると思います。
選手自身が情報発信することで、選手のファン→チームのファンという流れにする必要があると思います。

次シーズンに向けての提言

今シーズンの新生Vリーグで出てきた課題について、私なりに次シーズンでの改善案をあつかましく提言したいと思います。

Vリーグのホームページの効果測定

ホームページは作って終わりではなく、作った後にどうだったかのアクセス解析などの効果測定が必要です。
特に現状離脱率が高いページの改修や、チケット販売ページまでの誘導がうまくいっているのか、うまくいっていない場合、どこがネックになっているのか解析する必要があると思います。

試合会場とコートレイアウトの見直し

試合会場がアクセスが悪いという声がネット上では多々見受けられます。
会場を見直す際も空席が目立つような観客席の多いところよりもまずは中規模で満席に見えるようなところを選定してはどうかと思います。

試合コートの観客席の配置も見直す必要があると思います。
高いチケット代を払っていい席を確保したのに、それよりも前にメディア席や関係者席が設置してあり、試合が見にくいという状況は無くさなければいけません。

観に来るお客さんのことを第一に考えた観客席のレイアウトを再考していただきたい。

選手による情報発信

今年は選手個人による情報発信はよく行われてたと思いますが、まだまだ発展途上だと感じます。
何人かの選手は積極的にホームゲームをアピールしたりするのは見受けられますが、それがチームとして戦略的にできていたかというと疑問です。
SNSのメリットを最大限活用するべきであり、選手個人のファンを増やすことはチームのファンを増やすことにもつながり、結果的にバレーボールのファンを増やすことにつながります。

まだSNSでの情報発信をリスクと捉える方もいると思いますが、今の時代、SNSは大いに活用するべきです。

他の人に見られるのが嫌だから鍵アカにしてるという人もいますが、そういう人は表向きのオフィシャルなアカウントと、プライベート用のアカウントで分ければいいと思います。

セカンドホームの設定

各チームごとに拠点とする地域を中心にホーム地を設定しており、さらにセカンドホームを設定しています。
各チームがどのような経緯や狙いでセカンドホームを設定しているかは分かりませんが、当然ファンが多い地域にセカンドホームを設定した方が良いと考えます。

TwitterやFacebookなどのSNSのフォロワーを解析すれば、その人がどこに住んでいるか予測することができますので、アカウントを分析してファンの多い地域をセカンドホームにした方がファンの為でもあり、集客面でもいいのではないでしょうか。

インフルエンサーの試合招待

ネット上で影響力のあるインフルエンサーを試合に招待し、バレーに興味のない層へのアプローチが必要だと思います。
久光製薬のホームゲームで行ったような、DA PUMPを呼んだことに近いですが、バレーとは関係ないけど話題の人や影響力のある人を招待し告知や試合の感想を公開してもらうのはどうでしょうか。

そもそもバレーボールに興味のない人に対しても、Vリーグという存在を知ってもらうきっかけにもなるんじゃないかと思います。

さらに言うと、あまり聞かない事例ですが、チケットのアフィリエイトも有効じゃないかなと思っています。
一般ブロガーにバレーボールの面白さを伝えてもらうんです。
ブログでバレーボールの観戦記事を書いてもらい、そのブログやサイトからチケットが購入された場合報酬が支払われるというもの。
チケットぴあではアフィリエイトプログラムはありますが、いろんなASPで実施してもいいと思います。

映像コンテンツの収益化

Vリーグの放映権はDAZNが握っているんだと思いますが、どうにか交渉してVリーグ機構でも、各チームでも映像コンテンツを収益化できるようにすればいいんじゃないかと思います。
DAZNとしても映像がSNSで拡散され、それが話題になり、結果的にDAZNへの加入が増えればお互いにWin-Winの関係になるんじゃないでしょうか。

それが無理なら、放映権の範囲外で映像をコンテンツ化してファンへの還元は可能だと思います。
今年は女子の東レが試合後のハイタッチ体感動画をアップしていましたが、ファンにとってあたかもチームの一員であるかのように見える映像の見せ方は価値があるんじゃないかなと思います。

映像をコンテンツ化する良いアイデアありますが、ここではネタバレになってしまうので興味あるチーム関係者の方はご連絡ください(笑)

他競技との連携強化

普段バレーボールは見ないけど、サッカーやバスケ、卓球などの他競技の観戦にはよく行くというアクティブ層に対しては、女子のPFUのような取り組みが効果的だと思います。
他の競技と抱き合わせてチケットを販売し、お互いのファンを共有するような取り組みは面白いと思います。

コラボする競技やチームについては、様々なチームを持っている企業であればその強みを最大限生かした取り組みもいいでしょうし、そうではない場合は拠点が一緒のチームや、同県内のチームで地域密着型でもいいでしょう。

先日Twitterでも言いましたが、SNSのフォロワーを分析して、チームのフォロワーが他にどんなチームをフォローしているか調べることでさらに効果の高い企画が生まれると思います。

法人チケットの販売

企業の福利厚生の一環としてVリーグの年間チケットを法人に販売するのもいいかと思います。
ある程度まとまったチケット販売にもつながり、バレー観戦のきっかけ作りにもなると思います。

相撲の法人向け年間シート販売の担当者は一人でやっているそうです。

そんなリソース割く余裕がないとは言ってられないですね。
それでも無理というなら依頼されれば私やりますけどね(^^♪

まとめ:Vリーグは伸びしろあり!

今年のVリーグに関してはファンの中では不満や不評も多かったと思います。
開幕前のプロモーションが足りなかったこともあり、スタートダッシュに失敗した感があります。

Vリーグに所属するチームとしても試行錯誤の連続だったでしょうし、大変だったと思います。
ただ、裏を返せばまだまだ改善の余地があり、ポジティブに考えれば伸びしろがあるということではないでしょうか?

これから本気でプロ化を目指すのであれば、固定概念にとらわれず、柔軟に新しいことにチャレンジしていく必要があると思います。
運営についても、これまでバレーボールをやってきた人だけで運営できるほど簡単ではないと思います。
「Vリーグ」というコンテンツを世間に周知し、人々の関心を引き、収益化する。

そういった点では、スポーツであれど立派なビジネスですので、会社経営と一緒です。
その道のプロを運営に取り込んで、立て直す時期にきているのではないでしょうか。